6月24日（火）、兵庫県建築指導課さんの主催により木造住宅耐震改修工法講習会「耐震リフォーム達人塾」が開催されたので参加してきました。
兵庫県では建築物の耐震化を進めるため「わが家の耐震改修促進事業」を実施されていますが、平成26年度から他の都道府県が設置した第3者機関や大学等の公的機関により性能評価された工法についても補助対象とすることとされたようです。
それで、今回その中でも先進的な活動に取り組まれている愛知建築地震災害軽減システム研究協議会さんが取り組んでおられる合理的な低コスト工法を学んで、兵庫県内における住宅の耐震化の推進と工事費の低減を目指す趣旨での開催でした。
募集人員は、当初150名とのことでしたが、この分野の関心が非常に高いようで、大幅に申込者が殺到したため、会場も変更されての開催となり大盛況でした。
■主な内容は次のとおりです。
1.全国の耐震改修の展開、件数をどう伸ばすか
名古屋大学災害対策室 スーパーバイザー 川端寛文 氏
2.耐震改修の促進に向けて
名古屋工業大学大学院 教授 井戸田秀樹 氏
3.安価な耐震改修工法の説明
株式会社えびす建築研究所 代表取締役 花井 勉 氏
4.耐震改修コストダウンのかくしわざ
NPO法人耐震化アドバイザー協議会 鳴谷 勲 氏
5.既存住宅の活性化について
兵庫既存住宅活性協議会 才本謙二 氏
最初は、どのように行動していけば、住宅の耐震診断、改修が進んでくかというお話しでした。
愛知エリアでは、産官学の連携がうまく進んでいるというお話しでした。
また、改修しない理由として費用や効果がわかりにくいなどの理由うが取り上げられるが、本音は面倒だとか、地震時でも自分だけは大丈夫、逃げられると思っている方もいるようで、いかにその気にさせるかが重要とのことでした。
もちろん、その気にさせるためには、工事費を安価に抑える、補助金などの支援制度を充実させることが大切だが、それを有効活用するためには、専門家の育成が大切だと指摘されていました。
耐震改修は、新築と違い知識はもちろん経験も必要です。耐震診断はできても、いざ改修となるとできない、やらない事例もけっこうあったとのことで、そこを補完する仕組みを作られて、専門家の育成をはかり、改修の実績を積み上げてこられたとのことでした。
その後、本題の合理的な低コストの改修う工法について説明を受けました。
3点指摘されていた事項としては、①仕上げはさわらない ②土壁は残す ③押し入れを攻める でした。
ん？ それだけ？ と、正直言いそうです。（笑）
このあたりのことは、すでに耐震診断・改修に関わっている方々にとっては当然のことですが、これからという方や、行政、工事関係者の方にとっては初歩的でありながらも重要なことだと思います。
今日の研修でもっとも注目されたのが、愛知建築地震災害軽減システム研究協議会さんが取り組まれてていた様々な評価工法の説明だったでしょう。
現場の声から様々な工法を評価され、それを幅広く利用できる状態にされていることは、本当にありがたいことです。
建築の現場というのは、同じものが少ないですし、専門家としては、様々な状況に応じて臨機応変に対応できる知識、情報、技術を持っている事こそが、工事費を安価に抑えつつ、必要な性能が発揮できる改修工事につなげることができます。
今回、この愛知での評価工法が兵庫県でも助成金の対象として利用できることになったのは、本当に有意義なことだと思います。
どうしても標準的な工法やメーカーがつくった特別な工法だけは対応できない場合も多く、無理をしたり工事費が高くなっていた現実を考えると、少しでも現場対応がしやすくなることで、兵庫県内の耐震改修が進むことを期待したいと思います。
ちなみに、今回講師をしていただいた名古屋工業大学大学院の井戸田先生の研究室では、愛知で取り組まれている耐震改修工法等に関する情報提供をホームページで行われていますので、関心のあるかたは一度アクセスして御覧ください。貴重なデータのダウンロードも可能なようです。
今日の講習会を受講したからといって、直ぐに耐震診断、改修技術が向上するわけでもないですし、耐震化率が向上するというものでもないでしょうが、こういう地味な積み重ねが専門家の厚い層を作り出し、結果としてその効果が徐々に現れてくるのだと思います。
できれば、各工法のご紹介もしたいところですが、それはまたの機会に。
兵庫県建築指導課の皆様、いい講習会企画運営ありがとうございました。
講師の皆様お疲れ様でした。
兵庫県わが家の耐震改修事業のご案内
・・・で、私もこれで耐震改修の達人になれたかって？
・・・まだまだ弟子の弟子程度ですな。日々精進致します。（笑）
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