地震への備えとして耐震診断した結果、耐震性能が低く、倒壊の可能性が高いと判断されると、次は耐震改修の実施について検討していくことになります。
耐震改修には、その建物の規模、構造のほか、生活の状況やかけることができる資金の問題など、いろいろと考慮しないといけない諸条件がありますが、それらをひとつひとつ整理しながら、今もっともいいのではないかという手法を専門家と施主様で相談しながら探していくことになります。
今回は、その結果屋根の軽量化という手法を使った耐震改修の事例をご紹介させていただきます。
写真の通りきれいなオレンジ色の洋瓦で葺かれたこちらのお宅では、簡易耐震診断の結果、倒壊の危険性があることがわかりました。
施主様といろいろな諸条件についてご相談させていただいた結果、屋根の軽量化を行うことになりました。
この屋根の軽量化については、瓦の下に土がのせられている屋根に有効なものになります。
つまり基本的には、この重い土を撤去して軽い屋根にすることで、地震時に建物に掛かる負担を軽減して、耐震性の向上を図ろうということです。
新しく採用する屋根葺材の選択肢は様々なものが考えられますが、基本的に軽量化できるものということで、スレート形状のもや金属製の屋根葺材がメインになりそうです。
今回は、ケイミュー製の平型屋根用スレート(波形)のものが採用されました。
写真でオレンジ色(濃淡があります)の部分が新しい屋根葺き材が施工された部分になります。
また、手前に少し写っているブルーの部分が、下葺き材、つまり防水シートですね。今回は、屋根葺き材と同じ、ケイミュー製のゴム化改質アスファルトシートを使用しています。
下葺き材の下には、補強と屋根葺材の固定を行うために構造用合板t12が張られています。
工事の流れとしては、瓦、土の撤去、構造用合板張り、下葺き、谷樋などの板金、屋根葺、最後に棟などの板金工事を行って完了です。
写真では、棟などの最後の工事が完成する前の写真ですが申し訳ございません。
棟が取り付けられると、くっきりはっきり屋根のラインが確認できて綺麗になります。
ざっと、おおまかな工事のながれをご紹介しましたが、実際には既設の野地板が腐朽、劣化しているところが確認されたり、着工前にはわからない部分も多く、ある程度そのようなことが発生するだろうと想定しながら工事を着実に進めていく必要があります。
あとで、これも、あれも追加工事ですなんてことは言えないですから、最初にそのあたりの説明確認を施主様と十分におこなっておかないといけませんね。
さて、最後になりましたが、この屋根の軽量化工事は、県の補助対象工事ということになります。現在の受付窓口は市町に移されているようですが基本は同じです。
簡易耐震診断の後、現状図面、計画図面、見積等のほか、補助申請を行った後に工事着手し、最後に実施報告書を提出する流れになります。
ちなみに、三田市内の場合、基本額50万円に三田市さんの上乗せ補助が30万円(上限)ありますので、計80万円の補助金が利用可能です。
これはとっても大きな金額ですので、屋根工事だと大変ありがたいですね。
もちろん、補助申請に必要な図面の作成、申請手続等を専門家にお願いすればその費用は必要になりますので、全額工事費にあてるということはできませんが、それでもとってもお得だと思います。
図面の作成と申請手続き(見積、契約書、領収書等必要)を行うことで、単に葺き替え工事を行う場合におこりがちな、施工者とのトラブル予防にもつながります。
いろいろな備えの中のひとつの選択肢として、屋根の軽量化もご検討ください。
*補助金の利用については、諸条件がございますので、県、市町の窓口に必ずご確認ください。
*あとで補助金がでるからといって、補助申請書類も契約書も作らないで工事を行うような業者にご注意ください! 必ず補助申請後交付決定がおりてからの着工が条件になります。
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簡易耐震診断、耐震改修の計画策定等は弊社併設の一級建築士事務所で対応させていただけます。
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